大凶ループ

"大凶"
「なんだよ、ついてねーな」
すがる思いで立ち寄った神社で、おみくじを引いたダイサクだった。
頭脳、運動など飛び抜けた才能はなく、窓際族として働いて早20年。蓄積したのはお腹の脂肪だけ。
退職後の華やかな隠居生活に期待がもてないダイサクは「一攫千金」に夢を膨らませていた。
「あ、神社に財布を忘れた」
もうすぐ家に着くところで気づいたダイサクは、神社に引き返した。イライラしながら向かっていると強面の人と肩がぶつかり慰謝料を請求されたが断った。しかし、それでは済まされずボコボコに殴られた。
「ちくしょー、大凶さえ引かなければ」
顔中あざだらけになったダイサクは痛みを我慢しながら神社に向かった。あと少しというところで、横を向きながら自転車を飛ばす中学生とぶつかり、飛ばされた勢いで運悪く頭を打ち気を失い病院に運ばれた。
大事に至らなかったが1週間入院をよぎなくされた。とことんついてないダイサクはむしゃくしゃしていた。
気分を害すると暴食してしまうダイサクは、味のない病院食には一切手をつけず、毎日好きな物だけを食べた。
案の定、7日で10kg太り、大台目前の98kg。
ダイサクは怒りつぶやいた。
「すべては、あの神社のせいだ」
退院したその足で神社に向かった。
---つづき---